もともとは「集団」「群れ」といった意味をもつ感染症とは全く関係のない単語で、主に数学、化学、情報分野などで専門用語として使われていた言葉です。感染症に関して使われる場合は、「特定の感染疾患が集まった集団」「小規模な集団感染」といったように、患者集団を指す言葉となります。
5類感染症に位置づけが変更したことによって、厚生労働省HPでのクラスターに関する表現は下記のように変更されています。(2023年6月26日時点)
5類移行前:「接触歴等が明らかとなる5人程度の発生」
5類移行後:「感染経路が追えている数人から数十人規模の患者集団を指す」
厚生労働省が発信している「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」の「集団感染等発生状況」によると、クラスターが発生しやすい場所として福祉施設や医療機関、学校・教育施設等が挙げられていました。(期間;2023年1月23日~29日)
また、国内で感染が明らかになった方のうち8割の方は、他者に感染させていないことが明らかになっている一方で、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどでは、1人の感染者が複数に感染させた事例が報告されています。このように、同じ空間で長時間にわたって他者と過ごす施設では、感染リスクが高くなってしまうようです。
では、どのような環境や状況で「クラスター」は発生しやすいのでしょうか?厚生労働省のサイトで発信されている国立感染症研究所がまとめた「クラスター事例集」では、各施設でのクラスター発生事例が報告されています。
これらの事例を見ると、マスクの未着用や感染した自覚のない人からの波及などの個人の対策不足に加えて、会議室や休憩室での3密状態や従業員の健康管理不足などの施設の対策不足もクラスターを発生させる要因となりえるようです。
今回の、今さら聞けない『感染症』シリーズは、「クラスター」について解説しました。ここ数年よく耳にすることになった新しい用語ですが、今後「集団感染」を意味する用語として定着していくことでしょう。
新型コロナウイルスは感染症法上、2類から5類へと位置付けが変わったものの感染症に罹患するリスク自体が軽減したわけではなく、いつまた感染者が増加するかもしれない脅威として存在しています。
記事中で紹介したクラスター事例集にもありましたが、3密状態や他者と共通で利用する場所は感染リスクが高いことは否めません。パンデミックを経験した私たちは、油断することなく定期的な手洗いや手指消毒、施設の周辺環境の清掃など、基本的な感染対策を継続していく必要があるのではないでしょうか。