ノロウイルスは数年おきに変異し、大きな流行を起こす傾向があります。2024/2025シーズンでは年始から増加し、3月に大きなピークが見られました 。2026年も引き続き、春先にかけて強い警戒が必要です 。
なぜノロウイルスは、なぜこれほどまでに怖いのでしょうか。その理由は下記にあります。
アルコール消毒への耐性が強く、また乾燥した環境でも数週間生存し続けることがあります。
残念ながら、2026年現在もワクチンやインフルエンザのような特効薬は実用化されていません 。そのため、物理的に「持ち込まない・広げない」対策が基本となります 。
消化器の感染症のため、症状は主に下痢・嘔吐となりますが、乳幼児は自分の体調を正確に言葉にできないことが多いと思いため、以下の「留意すべき症状」に注意してください。
ノロウイルスの人から人への感染経路は、吐物・便からの接触感染と、空気中に舞い上がったウイルスを吸い込む塵埃(じんあい)感染が主となります。そのため、吐物や便の処理が感染拡大予防に非常に重要となります。
感染拡大予防は、手洗いが鉄則となります。園内感染者の有無にかかわらず、平時から頻回に手洗いをするようにしましょう。また、ノロウイルスに対する消毒はアルコールが有効ではなく、次亜塩素酸ナトリウムが基本となります。汚染可能性がある場所は次亜塩素酸ナトリウムでしっかり消毒するようにしましょう。
ノロウイルスの診断は、糞便を用いた迅速キットによる検査が主流で、この検査では15-20分と短い時間で検査結果が出ます。とはいえ、現実的には登園中のお子さんを医療機関に連れて行き、即時に検査することは難しいでしょうし、保護者の方を待っている時間も、感染拡大のリスクは高い状態にあります。そのため、疑わしい症状がある場合は、ノロウイルス感染疑いとしての対応をするようにしましょう。対象者の隔離判断と、その後の流れの目安は下記になります。
【隔離判断とその後の流れ】
1. 1回目の嘔吐、または激しい下痢や数時間の間に連続して下痢が発生
2. 感染疑いと判断し、暫定的に隔離を開始
3. 汚染箇所があれば消毒(次亜塩素酸ナトリウム)
4. 保護者への連絡(可能であれば、医療機関への受診依頼)
「違ってもいいから、感染拡大予防措置を開始する」という判断が重要です 。
感染拡大を防ぐには、物理的に隔離する方法が主となります。また、隔離解除の判断は、下痢等の症状が治まってすぐに解除ではなく、症状改善後の48時間後が推奨されます。
隔離方法:他の園児との接触を避ける対応をします。また、対応するスタッフは固定とすることが推奨されます。
解除基準:下痢や嘔吐が治まってから48時間(2日間)経過するまでは登園を控えてもらうことが推奨されます
なお、隔離解除前に迅速キット検査による陰性確認は、保険診療では認められていませんので、留意が必要となります。
<便・吐物の処理について>
便や吐物には大量のウイルスが含まれており、前述の感染経路のように乾燥すると空気中に舞い上がり(塵埃感染)、それを吸い込むことで周囲に広がります 。また、症状が消えても、便の中には1週間〜1ヶ月近くウイルスが排出され続けるため、登園再開後もしばらくは、便失禁時やオムツの処理には留意が必要となります。また、登園再開後の園児には特に手洗いを促すようにしましょう。
便・吐物の処理の主な流れ
1. 部屋の換気をすぐに開始する。
2. 使い捨てマスク、手袋(できれば2重)、使い捨てエプロン、(できれば)シューズカバーを着用する。
3. 吐物をペーパータオルで覆う(空気中への拡散を防ぐため)
4. 吐物を使い捨ての布やペーパータオルで外側から内側に向けて静かに拭き取る(こすらない)。
5. 拭き取った後の床を、次亜塩素酸ナトリウム(濃度0.1%に希釈) で浸すように拭き、10~15分程度 放置したあと水拭きする。
6. 使用した布や手袋はビニール袋に入れ、密閉して廃棄する。
ノロウイルス感染疑いの園児の退園後の医療機関受診時に、保護者が医師から迅速な指示を受けるために、以下の情報をメモして、保護者と共有しましょう。
発症時刻: 最初に嘔吐した、または元気がなくなった時刻 。
症状の回数と形状: 吐いた回数、下痢が「水っぽい」か「ドロドロ」か
水分と排尿: 直近24時間で食事や水分がどの程度摂れているか、おしっこが出ているか 。
周囲の状況: 園や同じクラスに似た症状の園児がいるか 。
ノロウイルス対策は、スタッフ全員が「同じ基準」で動けるかどうかが非常に重要です。お子様たちの健康と園の運営を守るために、もし今の対策に不安を感じる部分があれば、この機会にぜひ手順を見直しましょう。