高齢者は慢性疾患をいくつも抱えていることがあり、症状に対して薬剤内服が不可欠な場合もしばしばあります。しかし、さまざまな理由によって服薬しにくい状況があり、その一因に飲み込みの機能低下によるものがあげられます。このような場合、薬をそのままの剤型で飲むのは困難です。そのため、高齢者へ確実に服薬してもらうためには、口腔および身体機能や生活環境を把握し、個々にあった服薬方法を提案する必要があります。
飲み込みの機能が低下している方で、服薬時の飲水でむせるときにはとろみを付与するのも有効な方法の一つです。とろみをつけることで水分が口から喉へ流れ落ちるスピードを緩めることができ、むせることを防ぐことができます。ただし、一部の薬剤はとろみ付きの水分で服用した際に薬剤の吸収が悪くなることが報告されています。そのため、とろみ付き水と服薬してから薬効が低下した場合には、OD錠や貼付剤への変更追加などを含めた、他の投薬方法を検討する必要があります。
味が苦手な薬や粉砕した薬は、ゼリーに包み込むように服用することでも飲み込みやすくなることがあります。服薬ゼリーではなく、市販のゼリーを使う場合は、薬剤師に相性を確認し、薬効に影響を及ぼさないかチェックすることが望ましいです。
簡易懸濁は、約55℃のお湯に薬剤を溶かして経管にて服薬する方法であり、主に経管栄養を利用中の患者に用いられます。薬剤を懸濁し、とろみをつけたり、味をつけたりして経口で服薬する方法もあります。ただし懸濁ができない薬剤もあるため、事前に薬剤師に確認すべきです。
高齢者は複数の薬を服用していることが多く、同時に認知機能が低下してくると、飲み忘れや重複服用のリスクが高くなります。
時間、曜日、日にちごとに薬をあらかじめ分けておき、1日分をまとめてセットできる服薬カレンダーを使うことで、飲み忘れを防ぐことができます。
音声リマインダーや服薬管理アプリ、看護・介護スタッフによるチェックリストなども併用すると、より確実になります。
本人だけに任せず、家族や介護スタッフと情報を共有しながら支援することが安全です。薬は必ず指示通りの時間・量を守るようにしましょう。
薬の飲み方に悩んだ場合、自己判断で勝手に粉砕したり、とろみをつけたりするのは危険です。薬剤の性質によっては、粉砕や他のものとの混合が効果や吸収に影響する場合もあります。必ず医師・薬剤師に相談し、「どの方法が最適か」を確認しましょう。
また、医師と相談しながら、必要に応じて薬の内容を見直し、量を減らせる薬については減らすことを検討することが大切です。