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ロタウイルス予防と感染管理|Kiraliaきらり|キラリアハイジーン株式会社

作成者: Kiraliaきらり|Mar 26, 2026 4:43:43 AM

2025-2026年シーズンのロタウイルス流行予測

 

ロタウイルスは例年、ノロウイルスより少し遅れて、冬から春(2月~5月頃)にかけて流行のピークを迎え、2026年も同様の傾向が予測されています。

ロタウイルスはワクチンが定期接種になって以降、爆発的な流行はかなり抑えられている印象がありますが、それでも保育施設では園内での流行、高齢者施設では職員や面会者からの持ち込みによる施設内感染等、シーズンを通しての警戒が必要です。

 

ロタウイルスの特徴

 ロタウイルスはノロウイルスと非常に似た特徴を持っています。 

感染力が非常に強い

・わずかなウイルス量で感染が成立します。

不活化されにくい(生命力が強い)

ノロウイルス同様、一般的な消毒用アルコールに対する抵抗性が強いため、注意が必要です。

重症化しやすい(特に乳幼児)

・激しい嘔吐と下痢により、短時間で重度の脱水状態に陥りやすいのが特徴です。

一定の潜伏期間

・感染から1248時間と少し時間が経過したあとに発症するため、対策が後手に回りやすくなります。

 

ワクチンによる予防効果

現時点では高齢者用のワクチンはありませんが、乳幼児向けに開発されたワクチン接種(経口ワクチン接種)が実施されています。これにより、乳幼児が重症化して入院するケースは劇的に減少しました。ただし、感染や発症を100%防ぐわけではありませんので、注意が必要となります。

ワクチンの効果

 国立健康危機管理研究機構によると、ある地域における入院率がワクチン接種実施前は年間で1,000人あたり3.0-5.5人であったのが、ワクチン接種導入後には年間1,000人あたり0.6-0.8人と、85.7%の減少を示した、と報告*しています。これは入院率の減少を示しており、発症自体の減少を示したデータではありませんが、間違いなくワクチンには効果があるものと言えるでしょう。
*国立健康危機管理研究機構 https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/9275-478r07.html

 

ロタウイルスの感染経路

ロタウイルスの人から人への感染経路は、ノロウイルスと同様に吐物・便からの接触感染と、空気中に舞い上がったウイルスを吸い込む塵埃(じんあい)感染が主となります。そのため、オムツ交換時などは感染リスクが非常に高まります。

 

ロタウイルスの症状に気づくポイント

嘔吐や下痢にくわえて、特徴的な症状として「便の色」に注意が必要です。

主な症状(共通)

・突然の激しい嘔吐

・水のような下痢(水様便)

・発熱(ノロウイルスよりも高熱が出やすい傾向)

特徴的なサイン

白色便: 米のとぎ汁のような白っぽい便(クリーム色、薄い黄色の便)が出ることがあります。これはロタウイルスを強く疑うサインとなります。

対象者別の留意点

乳幼児の場合: 脱水の進行が非常に早く、「おしっこの回数・量が減った」、「泣いても涙が出ない」、「唇が乾いている」、「ぐったりして機嫌が悪い」といったサインを見逃さないようにしましょう。稀ですが、けいれんなどを起こすこともあります。

・高齢者の場合: 嘔吐、脱水による意識レベル低下や、嘔吐物による誤嚥(窒息や誤嚥性肺炎)があります。

 

ロタウイルスの主な症状

 

感染拡大予防①【手洗いと消毒】

感染拡大予防の鉄則は手洗いで、常時、石鹸と流水で30秒以上しっかり洗うことが非常に重要となります。また消毒に関してはアルコール消毒の効果が薄いため、次亜塩素酸ナトリウムが基本となります。汚染可能性がある場所は次亜塩素酸ナトリウムでしっかり消毒するようにしましょう。 

 

感染拡大予防②【隔離の判断】

 

 ロタウイルスの診断は、糞便を用いた迅速キットによるものが主流で、この検査では15-20分(早いものは数分)と短い時間で検査結果が出ます。
しかし、ノロウイルスの回でも述べましたが、検査結果を待っている間に感染は広がってしまいます。そのため、「検査結果を待たない」ことが原則となります。
以下に隔離のタイミングと判断基準、判断後の流れを示します。
 

【隔離のタイミングと判断】

・タイミング:有症状者が発生した時点

・判断基準「普段と違う/普段よりさらに水っぽい水様便」や「原因不明の嘔吐」が1回でもあれば、暫定的に隔離を開始。特に白色便(クリーム色、薄い黄色の便)が出た際は、強く疑う

【隔離判断後の流れ】

  1. 判断基準に沿い、暫定的に隔離を開始

  2. 汚染個所があれば消毒(次亜塩素酸ナトリウム
  3. (高齢者施設で、連携先がある場合)医師へ報告し、指示を仰ぐ
(上記以外)症状に応じて、受診を検討。「ぐったりしている」といった意識レベルに関することや、排尿の量の減少や皮膚の乾燥が見られるといった脱水傾向がある場合は、早期に受診


感染予防に重要な考え方として、「違ってもいいから、隔離もしくは措置を開始する」という判断が感染拡大防止には重要となります。
参考として、ノロウイルスと同様になりますが、便・吐物の処理方法の概要をあらためてお示しします。

 

便・吐物の処理の主な流れ

  1. 部屋の換気をすぐに開始する。
  2. 使い捨てマスク、手袋(できれば2重)、使い捨てエプロン、(できれば)シューズカバーを着用する。
  3. 吐物をペーパータオルで覆う(空気中への拡散を防ぐため)
  4. 吐物を使い捨ての布やペーパータオルで外側から内側に向けて静かに拭き取る(こすらない)。
  5. 拭き取った後の床を、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き、10分程度放置したあと水拭きする。
  6. 使用した布や手袋はビニール袋に入れ、密閉して廃棄する。

 感染拡大予防③【隔離方法と解除の基準】

隔離方法は原則として、物理的に隔離する/物理的に距離を取る方法が主となります。

・隔離方法:原則個室。個室対応が困難な場合は、他者と距離を取る形で対応します。対応するスタッフは可能な限り、固定としましょう。塵埃感染を防ぐために換気は徹底しましょう。

・解除基準:インフルエンザなどのように、症状改善後の一定期間後に隔離解除や登園許可といった明確な基準はなく、症状で解除判断することが一般的です。以下に解除目安を示します。

<解除の目安>
・通常の食事が摂れること
・嘔吐・下痢等の症状が治まっていること(通常の食事を摂ったあとにも症状が治まっていること)

※症状が消えても、便中には1週間〜1ヶ月近くウイルスが排出され続けるため、隔離解除後も感染者の排泄介助後やオムツの処理後は、特に念入りな手洗いやマスク着用が必要です。

なお、ノロウイルスと同じく隔離解除前に迅速キット検査による陰性確認は、保険診療では認められていませんので、ご注意ください。

 

 医師への情報共有の内容

 

最後に医師が迅速に診断・指示を出すために、医師に相談する際は、下記の情報を一緒に伝えるようにしましょう。

  1. 最初の症状が出た時刻(症状には「食欲低下」や「元気がない」も含まれます)
  2. 嘔吐・下痢の回数と形状(「いつもより白い便」、「ドロドロした下痢」等、画像があるとより良いです
  3. 症状が出たあとの摂食量と飲水量および排尿量(おおよそ直近24時間)
  4. 周囲(施設内・同フロア・同部屋)に感染者もしくは似た症状の利用者がいるか

ロタウイルス対策は、「アルコールが効きにくい」というノロウイルスと類似した対応が求められます。現場で感染拡大を防ぐには、平時からの予防対策やマニュアル整備などの準備が不可欠です。ぜひこのタイミングで予防対策の確認・見直しを行いましょう。